スポーツジムは医療費控除の対象になる?利用料の負担が軽くなるってホント?
かかりつけ医から運動を勧められ、ジムに通うことを検討していると、気になるのがジムの利用料ですよね。しかし、ジムの利用料が医療控除の対象になる場合があるということをご存知でしょうか?「指定運動療法施設」を掲げるジムでは利用料が医療控除の対象となります。ジムをお得に利用できるかもしれない医療控除について詳しく知っておきましょう。
医療費控除とは
確定申告を行ったことがある方は「医療控除」と聞けば、ピンと来るかもしれません。医療控除とは年間の医療費が10万円を超えた場合に年収から医療費を差し引き、税金も減額してもらうことができるという所得控除制度のことです。
医療費は病院を受診してかかった診察代だけでなく、薬局で購入した薬代も医療控除の対象となります。そして、今回解説するスポーツジムやフィットネスジムの利用料についても、指定運動療法施設を利用すれば、医療控除の対象となる場合があります。
10万円と聞くと多く感じるかもしれませんが、納税者が生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費についても含まれるため、年間の医療費が10万円を超える可能性は十分にあります。医療費が多くかかった年は確定申告をして税金を減額してもらいましょう。
ジムの利用料は医療費控除の対象になる?
ジムの利用料は医療控除の対象となる場合がありますが、全ての人が安く利用できるというわけではありませんので注意が必要です。医療控除を受けるにはいくつかの条件をクリアすることが必要となります。ここではその条件について詳しく見ていきましょう。
指定運動療法施設を利用すること
医療控除の対象となるにはどこのジムでも良いというわけではありません。「指定運動療法施設」と呼ばれる、厚生労働省が指定した施設を利用することが必須となります。厚生労働省のwebサイト内の「運動型健康増進施設一覧」から検索すると便利です。全国の運動型健康増進施設のうち、指定運動療法施設は200か所以上ありますので、家から通える距離にあれば検討してみましょう。
特定の疾病を抱えており、運動療法処方箋を処方されていること
運動療法とは疾患の治療・予防のために運動を活用することです。中枢神経疾患、整形疾患、急性心筋梗塞、慢性心不全、また中性脂肪や体脂肪を落とす目的で肥満症や高脂血症、糖尿病といった疾患を持つ患者さんが運動療法の対象となっています。運動処方箋は運動負荷試験が行える施設で発行してもらうことができます。
指定運動療法施設には、提携している医療機関がありますので、そちらの医療機関を受診してみましょう。運動処方箋には個人の疾患、運動の目的、体力に合わせて運動の種類や運動の頻度が記載されています。この処方箋をもとに運動療法施設で運動を行うことが必要です。
施設での運動が週1回程度、8週間以上行われること
運動施設に通うことになっても定期的に運動を行うことが条件となります。「気が向いた時にだけ」という方や「仕事が忙しくてたまにしか行けない…」という方は、継続した運動とはみなされません。
週に1回以上の頻度で通い、8週間以上継続していなければ控除の対象外となってしまいます。とはいえ、頻度的には多くはないので週末を利用するなど、無理なく通える方も多いのではないでしょうか。
医療費控除を受けるには
「近くに指定運動療法施設があり、定期的に通えそう!」という方は早速、ジム通いを始めてみましょう。先ほど解説したように、医療控除を受けるには医師から運動療法処方箋を処方してもらい、指定運動療法施設を利用しますが、それだけでは医療控除は受けられません。確定申告で医療控除の申請を考えている場合には、以下の手順を参考にしましょう。
運動療法処方箋の交付を受ける
まずはかかりつけ医に相談し、運動療法処方箋の交付を受けます。運動療法が必要とされると診断されないと処方箋は発行してもらえません。処方箋の発行には手数料が必要となります。
指定運動療法施設の利用する
運動療法処方箋を指定運動療法施設へ提出し、運動を始めましょう。指定の施設では健康運動指導士による運動プログラムに基づいた運動をします。ここで注意したいのが、運動療法処方箋に記載される期間です。期間が終了した際には再度医師の診断を受けて、運動施設に新たな処方箋を提出して継続することになります。週に1回、8週間以上の継続が必要です。
ジムで運動療法実施証明書を発行してもらう
運動する期間が終了したら、運動期間で運動療法実施証明書と領収書を発行してもらいます。証明書の発行には手数料がかかります。
医師に運動療法実施証明書の確認をしてもらう
発行してもらった運動療法証明書をかかりつけ医に持って行き、署名と捺印を受けます。
税務署で確定申告を行う
運動療法実施証明書と領収書を添付して確定申告を行います。
まとめ
疾患を抱えていて医師から運動を勧められたら、運動療法処方箋について相談してみましょう。継続した運動は自分で続けようと思っても途中で挫折しがちですが、ジムでトレーナーの指導を受けながらであれば続けられる方も多いでしょう。ジムの利用料が医療控除されればお得に運動ができます。医療控除を利用しながらジムでしっかり運動し、健康な体を取り戻しましょう。